オンライン(Zoomウェビナー)にて開催!
【参加申込受付中】
本ページ下部にあるリンクよりお申込み下さい。
100年の計を見据えた歯科医療・歯科医学を考える
-現場の声を聞こう! 医科歯科連携-
日時
令和4年10月30日(日) オンライン開催
(振り返り視聴 11/3~11/17)(予定)
昨年度に引き続き、オンラインで配信します。
実際の会場の熱気を皆さんと共有できないことはとても残念ですが、PCやスマートフォン、タブレットを用いてどこからでもリアルタイムでご参加頂けます。
また、2週間の振り返り視聴期間(オンデマンド配信)も設定いたします。
多数の先生方・スタッフの皆様のご参加をお待ちしております。
参加資格
どなたでもご参加いただけます
参加費
\3,000(東北大学歯学部学生は無料)
講演① 10:00~12:00
病院歯科口腔外科における医科歯科連携
~歯科治療併発症から治療前後のマネージメントまで~
【抄録】
超高齢化社会において全身疾患を有する人数は増加の一途をたどっています。医科医療費(65歳以上)は全体の62.8%(2018年)を占め、加齢に伴い罹患率も増加傾向となりますが、この世代の多くの患者の歯科治療を行っているのが現状です。
心疾患や高血圧性疾患は、局所麻酔中に患者の全身状態の悪化を招く危険がありますので充分な注意が必要ですし、糖尿病や自己免疫疾患、抗血栓療法や骨吸収抑制薬治療を受けている患者さんは特に抜歯や小手術後に注意が必要です。また気管支喘息患者は450万人、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は530万人もいると言われており、気道に近い我々の治療は細心の注意を払わなくてはなりません。
歯科治療においてRiskを伴う疾患が、治療前の問診で確認できていれば十分な準備が出来ますが、既往歴の聴取不足や患者の申告漏れがある状況での治療時偶発症は、対処にとても苦慮をしますし、生命の危険を脅かす場合もあります。私は卒後の殆どを救急病院で勤務しており、様々な歯科関連の救急患者を診てきましたし、また我々自身も多くの術後併発症を経験しています。それは本当に偶発的なものから、治療における全身的な合併症そして問診不足による併発症まで様々です。
今回は我々の経験してきた症例も含めて、歯科医院で起きた併発症を中心に予防と対策そして医科との連携についてお話する予定です。明日からの臨床のために何らかのヒントを持ち帰っていただければ幸いです。
講演② 13:00~14:00
医科の視点から歯科に求めるもの
【略歴(リンク)】
【抄録】
私は山梨県の東山梨地域の小病院で在宅医療をしている医師です。
甲府盆地の東側にある人口約7万人の二次医療圏で33年間、外来・入院・在宅医療をしてきました。歯科と特に縁ができたのは2000年ごろ、とある患者さんを通じて歯科衛生士の牛山京子さんに出会ったことです。以後、特に専門的口腔ケアを通じて、歯科関係の方々とはよく交流できるようになり、またそれ以来当山梨県東山梨地域の食支援の取り組みは主として口腔ケアを通じて展開してきました。
ここ20数年で当地域において
1)歯科の皆様とできていることは
●入院・施設・在宅のどの局面においても、専門的口腔ケアが必要だと思える方には「専門的口腔ケア」を紹介することができて、それを希望される患者さん・利用者さんにそれを提供できるスキームができていること。
●高齢者・障害者の摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎を繰り返すケースなど、訪問看護・リハ職・管理栄養士などといわゆる「多職種連携」を比較的容易に組むことができて、介護保険が使われている場合にはケアマネジャーさんなどにもその理解が進んでおり、積極的に「訪問歯科診療・専門的口腔ケア」の導入がはかられていること。
※特に東山梨歯科医師会の先生がたは、少なくとも管内2つの急性期病院(歯科のない病院)である塩山市民病院と当牧丘病院には、高い確率で医療保険による訪問をしてくれて専門的口腔ケアの指示を出してくれます。
2)これからもっとできるようになっていきたいところは
●いわゆるエンドオブライフのステージにおいて、口腔内が清潔であること・摂食機能を維持すること・コミュニケーション機能を維持すること・排たん能力を確保することを強く支える口腔ケアは「人間の尊厳を尊重する」ケアとして最重要なものですが、残念ながら人生の最終局面で歯科の関わりが薄くなる傾向は当地にもあります。しかしながら、命の終わりが来るその時まで、時にその後においても、「きれいでいて人間の尊厳を保つ」口腔ケアは非常に重要なものという認識は徐々に広がり、またそこに関わる歯科関係者も増えているので、これがどの病院や介護の現場でも共通認識になっていければよいと考えています。
●当地域では、小児の在宅医療はまだ進んでいません。しかしもともと山梨での障害者歯科においては、(甲府支援学校などの取り組みを通じ)障害をもつお子さんの摂食障害などへの歯科の関わりには歴史と実績があります。当地域での医療的ケアを受ける子どもたちへの在宅医療をもっと拡充させ(これはもちろん医科の仕事です)、在宅でも施設でも歯科との関わりを充実させていきたいと思っています。
3)さらに歯科に望むことは
●「薬局とともにかかりつけ機能を果たしてくれる」ことです。
医科の細分化と分担は進みすぎて、科ごと疾病ごと、急性期と慢性期、病院と在宅の管理の乖離はむしろ増悪傾向にあると思います。「どんな愁訴どんな病態にもプライマリにあたり適切なマネジメントを行う総合医機能」は大きく求められているのにもかかわらず、その整備は遅々としています。「自分に向いた診療にベストを尽くす」専門医よりむしろ「自分の診療に関わらないように見える問題についてさわらないことにする」医師が「かかりつけ医機能」をもたされている場合に、この医師と組む医療・ケアチームは生活面の指導などにおいて非常に不都合が生じる場合があります。
当地域では、入院・施設・在宅に継続して関われる歯科衛生士の存在が、その患者さんの口腔・摂食機能の維持管理において非常に重要な働きを果たしてくれます。医師の認識に乏しい「生活におけるかかりつけ機能」を、地域歯科医が果たしていただけないだろうかといつも考えています。また特に高齢者においてポリファーマシーは大きな問題であり、また服薬は生活における行動(知的な問題でも、生活スケジュールの問題でも、摂食機能でも)と大きな関わりがあり、この点において地域の薬局の「かかりつけ機能」にも大きく期待するところですので、ぜひ地域薬局とのコラボによる「在宅患者の生活支援」につき歯科のさらなるご尽力を期待しています。
※上記の事柄は「災害時の弱者支援」にも大きく関わることなので、実講演においては、東日本大震災以来の気仙沼での経験も含めてお話しさせていただきたいと思います。
では当日をたいへん楽しみにしております。
どうかよろしくお願いいたします。
【著書紹介(リンク)】近日掲載予定
講演③ 14:05~15:05
最期まで尊厳のある口を支援する訪問歯科診療
~東日本大震災後の気仙沼市での活動を交えて~
【抄録】
皆さま初めまして。ヒューマンデンタルクリニックの飯田良平と申します。鶴見大学歯学部高齢者歯科学講座で20年勤務した後に2020.4月に開業しました。「人生の最期まで尊厳のある口を」をモットーに、横浜総合病院の今村先生のお膝元、横浜市都筑区で訪問診療を中心に活動しています。地域医療に関わる方の理解も少しずつ増して、人生の最終段階においても歯科に依頼をいただくようになってきました。最後まで口から食べること、そして旅立つ際にも綺麗な口で逝けるようなお手伝いをしています。
さて、東日本大震災の後に鶴見大学では、気仙沼市の2つの小学校で居場所をつくる学習支援活動「学びーば」を始めました。また宮城県歯科医師会の「気仙沼・南三陸歯科口腔保健支援事業」を実施する気仙沼歯科医師会を支援させていただきながら、古屋先生方の支援活動とも協調をしました。具体的には南三陸から唐桑半島に至る計11の施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設など)と在宅や病院へ、気仙沼歯科医師会の先生方と訪問診療をさせていただきました。平成24年度には歯科医師会の研修会として摂食嚥下に関する7回の研修会も実施させていただきました。その後は「気仙沼支援医療・福祉関係5団体」での活動など、長きにわたり医療や福祉関係の支援活動にも参画させていただき、現在でもご縁が続いています。
今回はそのような気仙沼での地域における多職種連携の症例も供覧させていただきながら、最後まで寄り添う歯科における訪問診療の実際について皆様と考えることができれば幸いです。
※講演③終了後、講師によるディスカッション・質疑応答を予定しています
【第37回卒後研修会に関するお問い合わせはこちらまで】
卒後研修会事務局(東北大学歯学部同窓会事務局内)
Email: sotsuken37@tohoku-dent-alum.jp
参加申込
参加申込期間:6/15~10/23
本研修会の参加申込受付は“PassMarket”を用いて行います。
参加をご希望される方は、上記リンク先よりチケットの申し込みをお願いいたします。
当日のzoomIDは、申込時にご登録頂きましたメールアドレス宛に10月26日(火)にお送り致します。
紙、ないしデジタルでの“チケット”の発行はされません。
なお、東北大学歯学部学生の皆さんにつきましては、大学配布のメールアドレス(@dc.tohoku.ac.jp)で申込をすることで無料となります。プライベートアドレスでの登録は無料の対象とはなりませんのでご注意下さい。
演者略歴等・著書紹介
【今村栄作先生】
略歴(今村先生)
1991年3月 東北大学歯学部歯学科 卒業
1991年4月 鶴見大学歯学部 口腔外科学第1講座入局(診療科助手)
1991年10月 長野県厚生連佐久総合病院 歯科口腔外科(研修医)
1993年4月 横浜労災病院 歯科口腔外科勤務(研修医、専修医)
1995年4月 東芝林間病院 歯科口腔外科勤務(医員)
1996年4月 鶴見大学歯学部 口腔外科学第1講座(助手)
1996年10月 横浜労災病院 歯科口腔外科勤務(医員、医長)
2001年6月 横浜総合病院 歯科口腔外科(部長)
2005年8月 桐蔭横浜大学医用工学部(客員教授、2012年3月まで)
2015年4月 横浜総合病院 院長補佐(兼任)
日本口腔外科学会 口腔外科専門医 代議員
日本口腔インプラント学会 認定専門医
著書紹介(今村先生)
◉『インプラント併発症』医学情報社 2011年
◉『一般臨床医のための歯科小手術のスキルアップ』日本歯科評論増刊 2014年
◉『判例からみた医療安全(歯科医療に求められる戦略的なリーガルリスクマネージメント)』わかば出版 2014年
◉『歯科診療室での医療安全実践ガイド 起こりやすいエラーの予防と対応策』医歯薬出版 2010年
◉『歯医者さんに教えて! どんなお薬飲んでいますか?』クインテッセンス出版 2018年12月 長坂浩 監修 中島丘 編集 今村栄作・岩﨑妙子・久保山裕子・星島宏・守安克也・山口秀紀 著
◉『抜歯後に止血しない「治療後患者からクレームが出たとき100問100答』デンタルダイヤモンド社 増刊号VOL.23 No.314;88~89、1998年
◉『海外派遣労働者の歯科健康指導と歯科疾患管理 世界の歯科事情と安心ガイド(海外派遣労働者のために)』社団法人日本歯科医師会発行 2002年
◉『ブロック骨移植「日常臨床における再生療法のテクニックと長期経過」』日本歯科評論 別冊2009 74―79p HYORON 2009年5月
【古屋 聡先生】
略歴(古屋先生)
1962年 山梨県生まれ
1987年 自治医科大学卒
山梨県立中央病院初期研修を経て
1989年 牧丘町立(当時)牧丘病院 整形外科
1992年 塩山市立(当時)塩山診療所
2006年 山梨市立牧丘病院 整形外科
2008年 同院長 2017年 同院長退任
医師5人・30床・在宅250ケースをもつ地域小病院で外来・入院・在宅診療を行っている。
所属学会:
日本プライマリ・ケア連合学会
日本在宅医療連合学会
日本災害医学会
日本臨床心理身体運動学会
活動:
山梨お口とコミュニケーションを考える会 代表
気仙沼・南三陸「食べる」取り組み研究会 世話人
【飯田 良平先生】
略歴(飯田先生)
鶴見大学歯学部卒業(1997年)
歯学博士(鶴見大学)
鶴見大学歯学部非常勤講師(高齢者歯科)
日本老年歯科医学会 指導医・専門医・摂食機能療法専門歯科医師
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 評議員